食品の産地や賞味期限の偽装問題などが頻発するなかで、生産・加工・流通経路などのトレーサビリティへの関心が高まっていますが、木造住宅の建築素材である木材についても、同様の意識を持っている人が多いことが、住友林業の「木造住宅に関するイメージアンケート調査」で分かりました。
同社が全国の20歳以上の男女1,030人に対して行ったインターネット調査で明らかになったもので、「関心がある」「どちらかといえば関心がある」と回答した人が合計で69.9%に達しています。
その一方、木材に関する正しい知識が普及していないことも、同調査で浮き彫りになりました。国産材と外国産材に対するイメージの違いに、その一端が表れています。
国産材については「木目が美しい」「香りがよい」「親しみが持てる」「品質が安定している」など、プラスの印象を持つ人が35〜59%と高いものの、「価格が手頃」と答えた人はわずか3.6%。「高級で品質は良いが高額」というイメージが定着しているといえます。
これに対して、外国産材では製品自体の印象は良くないのですが、「価格が手頃」という回答は69.5%と、リーズナブルなイメージが強くなっています。
実際には、90年代半ばに輸入住宅が急増した頃は確かに外材のほうが安かったのですが、現在はその立場が逆転し、国産材のほうが安くなっています(図2参照)。たとえば、土台などに使われる国産のスギやヒノキ、外国産材のベイツガの価格を比べると明らか。単位は、製材用素材の丸太の1立方メートル当たりの単価です。ベイツガは2万6,000円台なのに対して、ヒノキは2万3,000円台、スギに至っては1万2,000円を切っています。
中国の木材需要の急増、ロシアの国内製材業保護のための輸出材への高率関税、環境問題に基づく南洋材の輸出規制などから、外国産材は高騰する一方で、国産材の需要が低迷していることが原因です。
また、木材を伐採して住宅造りなどに有効活用することは、森林保護やCO2の排出削減に役立つにもかかわらず、同アンケート調査では、木材伐採にマイナスのイメージを持っている人が少なくないという結果も出ています。「木を伐採することはCO2の吸収量を減らしている」という回答が43.1%、「生態系を破壊し続けている」と回答した人が42.4%にも上ります。
ここにも誤解があります。樹木は、若木の時期にはCO2を吸収しますが、樹齢が高くなると吸収しなくなるという性質を持ちます(構造材に多用される針葉樹の場合)。たとえばスギの場合、10〜40年生でCO2吸収量がもっとも多く、その後は徐々に減り、70〜80年生になるとほとんど吸収しません。つまり、CO2吸収量を増やすには、70年生くらいまでの木を伐採して有効利用し、その後に植林して若木を育てるのが一番。また、間伐材を使わずに山に放置しておくと、腐植してCO2を排出します。国産材を積極的に使うことが、国内の森林を守り、地球環境保護にも役立つわけです。
木材のトレーサビリティへの高い関心を持つ人々に対して、より正しい情報を提供していくことが今後は必要になってくるでしょう。 |